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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「夢の中へ」 第十話

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「なんと・・・あれほど殿が親しゅうされていた方たちなのに・・・日和見とな?勝ち戦に着くという戦国の世の慣わしに逆らえなかったのか。細川には珠が嫁いでおると言うのに・・・」

細川忠興(ただおき)に嫁いでいた珠は後にガラシャと名乗り秀吉からの追求を避けるために、忠興は丹波に幽閉してどちらにも味方をせず様子を見ていた。
心の中で夫の行動をどう見ていたのだろう。生きる延びるために仕方なかったこととはいえ、父の藤孝には失望した。

元はといえば足利義昭の側近だったが織田家に召抱えられた光秀に着いてその家臣となって働いていた。光秀の信頼も厚く当然のように味方になると信じていたのに、剃髪をして寺に引きこもり世間の目を逃れるように身を隠した。

秀吉の時代が来て許された藤孝は幽斉と名乗り和歌、茶道、舞曲、蹴鞠、礼儀作法などあらゆる文化に精通した文化人として余生を過ごした。江戸幕府の礼儀の元になった三巻の書を伝授した。

関が原の決戦前に大阪にいた豊臣側の武将から石田三成は大阪城へその妻達を人質に獲ろうとした。
細川家に嫁いでいた珠はキリスト教の洗礼を受けガラシャと名乗り、三成の要請を断って、自害した。父光秀の信念に負けず劣らずの自己の尊厳と人間愛を貫き通し、38歳でその生涯を閉じた。