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かいかた・まさし
かいかた・まさし
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富裕層会議

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第2回会議 希望の星を立てよ



「なあ、民衆から企業は収益を上げているのに、自分たちはあまりおこぼれを受けていない。派遣などの規制緩和で労働者は苦しい境遇に置かれていると不平不満が噴出している。生活が苦しくなっているとぼやきが聞こえるぞ」

「そりゃ困ったことだな。私たちがずるをして、富を貯め込んでいることに気付き始めたか。そうだ、はぐらかしのため、希望の星を立てよう」

「希望の星? 何、それ?」

「いつか、どん底にいる自分たちだって、夢のような生活が実現するに決まっていると思わせるのさ。いつかは私たちの仲間になれるんだってね。誰か、底辺出身の奴が大成功したように見せよう。そいつが、大実業家になったり、大物の政治家になったようなサクセス・ストーリーを創り出すのさ。誰かピックアップしてPRに使おう。映画になんかして、いつかは自分も、と思い込ませるのさ」

「なるほど、ほんの稀なことでも、大々的にPRすれば、彼らは自分にも起こると思い込むに決まっているわ。さっそく、やりましょう」

「そうそう、彼らがそんな夢を見ている間、今後、私たちが何を企んでいるかを気付かれないように、引き続き教育予算はどんどんカットしないと。知識を持たせないようにしましょう。大学の授業料をどんどん値上げして、私たちの仲間しか入れないようにしよう。法律家や役人になるのは、高い授業料を払える家庭の出身の子供だけ。知識のない奴らはどうすればいいか分からないから、結局、私たちの言いなりになるよ」

会議でまとまった提言は実行された。底辺出身の叩き上げ政治家や実業家が注目されるようになった。それら富裕層が策略的に育て上げた連中。民衆は、文句を言わず、自分もいつか富裕層になれると思い込み、苦渋に堪えることにした。さて、それから、十年後、第3回会議へ。


作品名:富裕層会議 作家名:かいかた・まさし