D.o.A. ep.34~43
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カタリ、と傍らにカップが置かれるのを、どこか遠いところのように見ていた。
「君、そんな傷負って、いつまで飲まず食わずでいるつもりですか」
心配の声も、耳を素通りしていく。
何故自分が生き残ったのだろう、と、考えて考えて、結局思考の泥沼から抜け出せない。
たくさんの知人や友人が、未来への輝きに満ちていた者たちが呆気なく死に、そして自分が生き残った。
必要性はあったのだろうか。
生真面目な、かけがえのない友の顔を思い浮かべては、目の奥が疼痛に苛まれる。
ヘクトの代わりに、生き延びた。
生き延びて。一体何の意味があっただろう。
(ヤツが生き残るべきだった)
ヘクト=レフィリーが生き残れば、と。
ダナル=アインタインは、包帯だらけになって、それでもしっかり生きている自分を憎んだ。
作品名:D.o.A. ep.34~43 作家名:har