小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

CROSS 第19話 『Visitor』

INDEX|3ページ/14ページ|

次のページ前のページ
 


「おまえ、人望が無いのか!?」

 ベータが山口を怒鳴った。艦長は、対艦戦闘を命令しており、対空砲が火を噴いていた。その横にいるアルファは考え事をしていた。
「だから言っただろ! 味方じゃなくて敵だって!」
山口が言い返した次の瞬間、

   ドーーーン!!!

 敵モビルスーツの攻撃が艦に命中し、ブリッジが大きく揺れた。
「山口氏を連れてこの艦を脱出する」
アルファが冷静な口調でベータに言うと、
「逃げるってことかよ?」
彼は不服そうに言った。
「現在の最重要任務は、この男を本国へ連行することだ」
アルファがそう言うと、ベータは山口をチラリと睨んだ。
「だけどさ!」
納得できないという感じで、山口が言った。
「我々のことは構わずに行ってください!」
艦長が死亡フラグまるだしのセリフを言い、ベータを促した。そして、またブリッジが大きく揺れた。
「わかったよ!」
ベータは、嫌々ながらも納得したようだ。
「よし。では、さっきの部屋と私たちの部屋に戻るぞ」
アルファはそう言うと、ブリッジから出るドアへ向かい、山口はベータに背中を押される形で、ベータとともにドアへ向かった。



 山口たちが艦内の通路を進んでいると、何度も揺れが起きた。攻撃による負傷兵とすれ違うこともあり、通路は混乱していた。山口たちは、ときに人を押しのけて進んだ。


 そして、最初の目的地である山口が尋問されていた部屋に着いた。激しい揺れにより、書類が何枚か宙を舞っており、アルファとベータがそれらを素早くスーツケースに放りこんでいた。

   ガガガガガ!!!!!!

 そのとき、部屋の外から、何かを削る大きな音が響いてきて、さらに連続した振動もし始めた。
「なんだ!?」
ベータがスーツケースをしっかりとロックしながら言った。
「ドリルのような音もしますね」
アルファはそう言うと、部屋のスライド式ドアを開けた。

 10メートルほど向こうの通路の天井から、高速回転したドリルが出てきていた……。そのドリルを、近くにいる数人のザフト兵が銃を向けながら唖然とした顔つきで見ていた……。
「あれは?」
ずっと冷静だったアルファも、少し取り乱した様子を見せ、彼の後ろから覗きこんでいる山口とベータに尋ねた。
「……艦体の壁に開けるドリルだ」
山口がそう言ったとき、ドリルが停止し、天井の中に引っ込んでいった。天井には、直径2メートルほどの穴が開いていた。
「このすぐ上は艦の外側のはずだぞ。なぜ、空気の流れが起きないんだ?」
ベータがそう言っていると、一人のザフト兵が、天井の穴の真下に移動し、銃を向けながら穴を見上げていた。