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CROSS 第19話 『Visitor』

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 山口は、ブリッジに連れてこられた。ブリッジに入った途端、ブリッジにいた全員の視線が、山口に集中する。アルファもおり、その横にいるのは艦長のようだ。
「何か用?」
山口は、アルファに尋ねる。
「あの艦がわかりますね?」
アルファは、前方に見える一隻の軍艦を指さしていた。
 この艦とその艦との間では、モビルスーツ同士の小規模な戦闘が繰り広げられている。ただ、こちらのザフト側が不利な戦況だ。

 その一隻の軍艦は、山口たちCROSSが以前戦った『エンタープライズP・0』だった……。今は『大日本帝国連邦』の国旗ではなく、『悪魔連合軍』の国旗が船体に印されている……。

「今から、あの艦と通信をしますので、攻撃を停止しろと伝えてください。駄目ならば、命を狙われていると泣きついてください」
山口は、アルファのこの注文に困るしかなかった……。彼らは、あの艦が、大日本帝国連邦軍の軍艦だと勘違いしているのだ……。おそらく、船体にある『悪魔連合軍』の国旗を、ただの落書きだと思っているのだろう。
「あの艦は味方じゃない!」
当然だが、山口は説明するしかなかった。しかし、アルファたちは信じてくれず、
「じゃあ、通信開始だ」
通信が始まってしまった……。

『……おまえはそこで何をやっているんだ?』

 相手のエンタープライズP・0のアーチャー艦長は、反応に困っている様子で、同じような様子でいる山口に尋ねる……。
 艦同士の通信が始まったため、モビルスーツ同士の戦闘は一旦停止していた。しかし、そこに、こちらのモビルスーツ『ジン』は1機しかおらず、向こうは3機もいる。
「見ればわかるだろ? 捕虜になったんだよ」
山口は、自分に余裕があることを装うため、苦笑いしながら言う。
『……そうか。それで、用件は?』
たぶん、見破られてしまったようだ……。
「そっちの攻撃を止めろってさ」
『……なぜ攻撃を止めなければならないんだ?』
「オレの命と引き換えらしい。つまり、オレは人質というわけだな」
山口は馬鹿馬鹿しいという口調で言った。
「この男を無事に保護したければ、攻撃を停止しろ」
これはアルファだ。しかし、
『話にならん!!!』
アーチャーはそう言い放つと、一方的に通信を打ち切った……。

 その次の瞬間、三体の敵モビルスーツ『ジム』は、残っていたこちらのモビルスーツに一斉攻撃し、そのモビルスーツを撃破した。そして、行く手を阻むモビルスーツを撃破した敵モビルスーツは、この艦めがけて攻撃してきた……。