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CROSS 第19話 『Visitor』

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「山口さん、来なかった!?」

 その後すぐに塔から飛び出してきた佐世保が、ガリアとウィルに尋ねた。
「たぶん、ザフトの連中に連れていかれた」
「山口さんは気絶しているようだった」
ウィルとガリアが悔しそうに言うと、佐世保はショックを受けた様子だった。

『ヘーゲルです。山口少佐に通信がつながらないのだが、何か問題が起きたのですか?』

 そのとき、ヘーゲルの冷静な声が、佐世保のバッジ型通信機から聞こえてきた。
「……山口さんは、ザフトと思われる勢力に捕まった模様」
佐世保がそれだけ言うと、
『……わかりました。それでは、とにかく、私の元へ戻ってきてください。応援が必要なのです』
どうやら、まだザフト軍と交戦しているようだ。
「了解。ただちに向かいます」
佐世保はそれだけ言うと、ジャングルに向かって歩き出した。
「捕虜にして、情報を引き出そう」
ウィルがそう言ったことから、佐世保とガリアはやる気を出したようだ。



 ジャングルでの夜戦は、混乱状態といえた。同士撃ちが起こりやすく、激しい攻撃を繰り広げることはできそうになかった。
 そして、そこへ、ガリアたちがやって来た。ウィルはまず、自身の私物として携行していたフラッシュグレネードを、敵であるザフト兵たちに向かって投げた。ガリアが自動小銃を敵に向け、次の瞬間、目をつぶった。

   カッ!!!

 まばゆい閃光が、深夜のジャングルの一箇所を照らす。強烈な光に目をやられたザフト兵たちにガリアが銃撃を加えた。この方法で、何人かのザフト兵を倒した。
 しかし、突然、ザフト兵たちは後退を始めた。
「オイ!!! 逃げるな!!!」
ガリアが乱射したが、命中した敵はいなかった。
「おそらく、地元民が接近しているのでしょう。我々も逃げますよ」
ヘーゲルが冷静にそう言ったが、
「だけど、山口さんが!!!」
佐世保がくってかかった。
「ガリア、少佐は殺されていたのですか?」
「……いいや、血が流れていることもなかったし、ただ気絶しているだけのようだった」
「それなら、大丈夫です。山口さんはただ、捕虜にされただけですよ」
「なにが大丈夫なのよ!!!」
「あの人なら、自分の力だけで逃げられますよ」
「そうかもしれないけどさ」
佐世保は納得できないようで、ヘーゲルは困った。
「ホテルで山口少佐と話をしていた男を問い詰めたらどうですか?」
これはウィルだ。
「それがいいですね」
ヘーゲルはいいことを言ってくれて助かったという様子で言った。佐世保も渋々納得した。
「では、急いで撤収しますよ」
ヘーゲルがそう言うと、CROSSは撤収を始めた。負傷兵を介助し、CROSSの戦死者の死体を運んだ。