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CROSS 第19話 『Visitor』

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第4章 残された者たち



【時間軸】 … 異次元暦42733年 12月13日 深夜
【場所】 … 『ファ・ディール』(『聖剣伝説LOM』の世界)
       『レイリスの塔』



 佐世保は、崩れ始めている『レイリスの塔』の内部にいた。彼女は、必死に山口を呼んでいたが、既にアルファとベータに気絶させられている山口が返事をすることは無かった。
 彼女は悔しいが、外へ出ることにした。休むことなく砂ぼこりが立ったり、岩が落下したりしていたので、彼女は命がけで、塔から降りていった。たまに立ち止まって、山口の名を叫んでいた。



 そのころ、『レイリスの塔』の地上の門のところにいたガリアとウィルは、崩れ始めた塔を見上げていた。
「これは大騒ぎになるぞ」
「後始末はオレたちの仕事じゃねえよ。外交屋どもが適当に片付けてくれるだろうよ」
ガリアとウィルは、異次元にとっても重要な文化遺産が崩れていくのを、ただ眺めているだけだった……。

   ガシャーーーン!!!

 塔の周りの塀の一部が、落下してきた岩により破壊された。
「危ないから離れよう」
「しかし、山口少佐と佐世保中尉がまだ中に」
「あの人たちなら大丈夫さ」
ガリアは呑気そうにそう言うと、塔から離れ始めた。

 そのとき、アルファとベータが山口を連れて現れた。ベータが山口を乱暴に引きずっていた……。
「山口少佐じゃないか?」
「アイツら、何をやっているんだ!!!」
ガリアとウィルはすぐに反応し、山口に当てないように注意しながら、アルファとベータに向かって撃った。
 しかし、アルファによる反撃と塔からの落下物により、うまく狙う撃つことができなかった。やがて、アルファとベータはそのまま山口を連れ、破壊された塀を乗り越えた。
「待て!!!」
ガリアはそう叫ぶと、彼とウィルは後を追おうとした。だが、

   ガラガラガラガラガラガラガシャーーーン!!!

 屋上に墜落していた輸送機の残骸が、大量の岩とともに落下してきて、ガリアとウィルの行く手を塞いだ。

   ドーーーン!!!

 輸送機の残骸がまた炎を上げて爆発する。その炎により視界が遮られ、気がつけば、アルファとベータと山口の姿はもうどこにも無かった……。

「少佐!!!」
「山口少佐!!!」

 ガリアとウィルは叫んだが、山口からの返事は無かった……。