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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「夢の中へ」 第九話

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城へ戻ってきた二人にひろこはもう一日泊まってくれるように懇願した。お別れの宴を夫も迎えて開きたいと願ってのことだった。
日が落ちて城内にはろうそくの明かりがいつもより多く灯されていた。客人を迎えての宴であったからだ。

子供達が先に寝所でひろこに寝かされている間に光秀はまどかと話をしていた。

「ひろこが無理を言ってすまなかった」

「いえ、ありがたいことです」

「こちらのせりふだ。この両日の事は光秀決して忘れることはない。まどかどのに不自由をかけないように申し付けておくゆえ、遠慮なさらずに届け物を受け取られよ。光秀の心ばかりの礼じゃ」

「そのようになさっては夫も恐縮いたします。どうか過分なご配慮はなされませぬように願います」

「いいのじゃ。そなたとひろこは姉妹のようなもの。これからも良しなに頼む。一つ教えてはくれまいか?」

「はい、お答えできるようでしたら・・・」

「うむ。木下殿のことを豊臣と申されたな?間違いで言われたのじゃなかろう。そなたのことじゃ、いい加減な推測話でもあるまいに。何ゆえか申して欲しい」

「その折にお答えしましたとおりでございます」

「うそを申されるな。光秀他言はしない。二人だけの秘密にしておこうぞ。申してくれ、頼む・・・」

まどかは迷っていた。少しだけ推測話として語ろうと光秀に返事をした。

「これは推測のお話しです。そのつもりでお納めください」

「解った」