やまなしこうえんにて
30分も怒られ続けていると、さすがに集中力が途切れてくる。
「だいだい君はね、普段から弛んでいるんだよ。だからこういったくだらないミスをしてしまうんだ。もっと緊張感を持って働きなさい・・・うんたらかんたら・・・・」
課長の説教は牛の涎のように途切れる気配がない・・・
「いいか!今度二度とこんなミスをしたら(中略)覚悟しておけ!仏の顔も3度までといってだな、さすがに温厚な私にも我慢の限度が・・・うんたらかんたら・・・・」
確かにミスした俺が悪いんだけど、ここまで長々と説教されるほどのことか?嗚呼、眠たくなってきた・・・
「聞いとるのか?おい!」
「はい、聞いています」
「いいか、昔の人はいいことを言った。過ちて改めざる 是(これ)を過ちと謂(い)う。これは孔子の言った言葉だ。君は孔子を知っているか?」
「はい・・・こうし・・・ですか?」
「孔子の論語を知らんのか?」
(子牛のゴロンなら知ってます・・・なんて言ったら火に油だな・・・)
「すいません。勉強不足なもので・・・」
「嗚呼、まったく情けない。ビジネスマンとして最低限の教養ぐらい身に着けておきなさい!話を戻すけど(中略)・・・しっかりと集中して仕事(中略)だいたい君は普段から弛んで・・・うんたらかんたら」
課長の話がループしだした・・・最悪だ・・・
「いいか、昔の人はいいことを言った。クラムボン。分かるかね?」
「え?」
「君に根本的に足りないものだよ」
(クラムボンって言った今?俺・・・2日連続でクラムボン?)
「宮沢賢治の言葉だ。しっかりと胸に刻んでおきなさい。まぁ少し私も言い過ぎた所もあったが、すべて君の為を思ってこその・・・うんたらかんたら」
課長の説教がお決まりの締めの文句に差し掛かってきた。一安心。そして・・・クラムボン・・・気になる・・・
「もういい席に戻りなさい」
「すいませんでした」
深々と頭を下げて席に戻る。
「クラムボン・・・・」
俺に足りないもの・・・・
頭の中はクラムボンでいっぱいだ。wikiで調べたが釈然としない・・・何なんだ一体?
そして次の日。
俺はクラムボンを拾うことになる。
作品名:やまなしこうえんにて 作家名:或虎