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犬の首

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 私はその足で下の現場へと向かう。数日前までイエローテープが張られていたのですが、今はそれも取り去られている。土肌が剥き出しになっており、少し嫌な色に見える。
 ふと、少し掘り出されている。まさかと思い、私は少し掘り出された土肌を掘り返して行く。
 すると出てくるのです。首! 首! 首! 大量の犬の首!
 これほどの犬の首、誰が埋めたのでしょうか。
 ふと、このマンションの曰くを思い出す。このマンションを建てる際に、不動産屋が地主を騙して買い叩いたという。その地主は元々その周辺でも悪評が立つほどのオカルトマニアだった。そしてその地主は、このマンションを呪って死んだ。最初の死者として、あそこから飛び降りたのです。
 ――飛び降りた地主の首は、打ち所と衝撃で千切れてしまっていた。性質の悪い噂の類です。
 きっとこの首もその地主が埋めたものだろう。犬神を作り、そして仕上げにと自分の首を捧げたのだ。
 そんな強い呪いを目の当たりにし、身震いが止まらなくなりました。吐き気もします。
 ふと、頭上を見上げると、何かが飛んでいた。烏だった。
「――天狗」
 しかし、私にはそう見えました。
作品名:犬の首 作家名:最中の中