本日は海星なり
愛(ゼリー状強力)
僕は細胞を分裂させながら
母さんのことを思いました
透明なゼリー状のチューブの中で
僕は兄弟達と同じ黒い塊
僕等は連なって思い思いに
生命の発生練習
お空をぴーひょろ鳴きながら
ぐんぐん飛んでいく鳥さんを見て
半熟の体で思いました
鳥さんは卵時代に
お母さん鳥に暖めてもらえます
それはとてもうらやましいことだなぁと
だって僕等おたま以前の粒粒は
母さんの温もりを知らずに
いつの間にか産まれます
僕はまだ4分割ぐらいの時
そう思って悲しんでいました
でも本当は違うのです
母さんは
こんなにも温かな
水たまりに僕等を産んでくれました
母さんの温もりは
太陽だったのです
体温を持たない僕等蛙は
とんでもない愛情に育まれて
ぴょこんと産まれるのです
僕はゼリーを突き破り
にょろにょろ体をくねらせて
初めての遊泳
兄弟達に告げて回ります
僕等の愛を
そして世界に満ちている愛を
大きくなったらきっと
それらを歌にしよう
蛙の体温で歌おう
けろけろと
そして
けろけろと