十のちいさな 小さなものがたり 1~10
御遺族の方々が、それぞれの思いを凝縮させて作った文集『茜雲』。
当時9歳の御子息をこの忌まわしい事故で失われた、美谷島邦子様が書かれた『御巣鷹山と生きる―日航機墜落事故遺族の25年』。
御子息は、ひとりでこの恐怖の機中にあったのだ。その恐怖とそれをおもんぱかるお母様の気持ちを思うと、今これを綴りながらも、これを読み返しているだけでも涙があふれてくる。
また忘れてはならないのは、遺体安置所となった体育館などのある藤岡市と、地元上野村の人たちの協力があればこそ、ということである。
ここでは詳細は省くが、御遺族の心を少しでも和らげ、慰めたのは、それら多くの人たちの献身と、温かく寄り添った思いやりがあればこそだったのだと思う。
それは、捜索などに携わった関係者にとっても心強く、極度の精神的疲労と緊張を強いられた中での、ひとときの安らぎを得られた場所だったと思う。
事故報告書には綴られない、底辺を支えた人々が存在したことを、知っておかなければならない。
まもなく、報道で取り扱われる時期がまたやってくる。気に掛けて読んでいきたいし、より多くの人たちにも知ってほしい。
大きな事故であれ小さな事故・事件であれ、家族を失った人の気持ちは同じなのだが、相も変わらず、戦争のない日本においても、多くの犠牲者が発生している現状。これから発生するかもしれないという心配(放射線による健康被害と今後ありうる事態も含む)。
JR西日本の福知山線脱線事故、東京電力の福島原発事故、現在メディアに大きく取り扱われている事故であるが、日航も含めいずれも国が関与している(してきた)企業であり、官僚の天下りが中枢部に陣取っている企業である。共通している事柄がいくつもある。そして似たような企業は、他にも多くある。
保身と経済効率よりも、安心安全に注力してほしいものだ。
当サイトにおける初投稿が、こういったエッセイになってしまったのは少し残念な気がするが、『群馬県』として心に残っているひとつであり、私自身の中では、決して忘れてはならないことだと肝に銘じている事柄なので取り上げた。
実は群馬県館林市が、仕事で頻繁に訪れていた場所ではあるのだが。
2012.7.09
作品名:十のちいさな 小さなものがたり 1~10 作家名:健忘真実