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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「夢の中へ」 第八話

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城内に入ってひろこと子供達に接した。
藤子は光慶とすぐに仲良くなった。そしてその世話を珠がしてくれていた。

「藤子様は仲良くされておられる。こうしてみていると子が三人おるように感じられまする・・・微笑ましいことじゃ、のうまどか様?」

「はい、そうですね。藤子は近くに気の合う同い年の子が居りませんので、きっと寂しかったのでしょうね。今は生き生きとしているように見えますから」

「夫も申していましたとおり、ここにお住まいになられてはいかがですか?これから生まれるであろう子たちにも安心でしょうし考えては下さいませぬか?」

「ありがとうございます。ひろこさま・・・私もそう出来れば嬉しいのですが、夫の藤次郎は両親と弟を信長様に討たれた方・・・明智様と直接係わりがないとはいえ、一番の家臣であられることが許せるとは思えないのです。万が一にも変な気を起こされては一大事。お許しくだされませ」

「そうでありましたか・・・世の中戦を続けているとそういうことが度重なってくるでしょうね。悲しいことです。無理にとは申しません。一度帰ってお話し合いをなされませ。夫は心優しい方です。信長様とは決して同じことをなされる方ではありませぬ」

「はい、存じております。我が子を光慶さまの嫁にと言って頂けたことでもそのお気持ちを重々察しております。しかし、夫は私の命の恩人。
何があっても逆らったり無理をお願いしたりしたくはありません。藤子と三人何とか暮らせて行ければそれ以上は望んではおりません」

「まどかさま。なんと言う素晴らしいお言葉!ひろこは久しぶりに感動致しました。これをご縁に末永くお近づきいただけるようお願い申し上げる」

ひろこはまどかを妹のように感じたのか、離れたくない気持ちを態度に示した。
まどかは悲しかった。ひろこの運命を知っているからだ。子供達は生き延びてもこの坂本城とともに生涯を終わらせたような記憶があったからだ。