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てっしゅう
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「夢の中へ」 第八話

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一日泊まって、翌日は琵琶湖見物に出かけた。肌寒い風が湖面をすり抜けまどかと藤子に吹き付けてくる。

「藤子、寒くないか?」

「はい、だいじょうぶです」

「風邪を引くといけないから、もうこの辺にして帰りましょう」

「ここには、なにがすんでいるのですか、ははうえ?」

「さて・・・なんでしょ。お魚の名前はよく知らないから帰ったらひろこ様にお尋ねしましょう」

「たべられるのですか?」

「そうだと思うけど、どうして聞くの?」

「かわいそう・・・」

「藤子、そんな事思っていたの・・・みんなが生きてゆくためにはお魚を食べることは仕方のないことなの。可哀そうと思う藤子の心は優しいけど感謝して食べることは決して罪じゃないのよ」

「かんしゃして・・・たべる?」

「そう。ありがとうって感じて戴くの。お魚さんが成仏できるようにね」

「じょうぶつ?」

「天国へ行けるようにって祈ること」

「てんごく・・・そう、おいのりするのね」

「そうよ。なんにでも感謝してお祈りするの」

「まりあさまに?」

「そうね、藤子がそうしたいならそれでいいのよ」

「うん」

まどかはここに来て藤子が少し成長したと感じた。兄や姉のような2人と話して、遊んで、刺激を受けたのであろう。
そう思うと尚のことここで暮らすことが藤子のためには良いことだと思えるようになってきた。