二日で親友が死ぬそうです。
学校に着いた。外見は変わったのだろうか正直あまり鮮明に覚えていなかったからよく分からなかった。隆太はとりあえず運動場へ行こうと言った。隆太が運動場を見わたしながら歩き始めた。
「確かここにはジャングルジムがあったかな。それと登り棒も。いまは安全性がどうとかっていう理由で全部撤去されちゃったらしいけどさ」
ああ、そういえばここにはジャングルジムがあったな。回転するやつだったと思うけど面影もない。でもサッカーゴールとブランコだけは残っていた。隆太も気づいたようだ。
「あ、ブランコはまだ残ってるんだね。なつかしいなぁ。」
「そうだな、しかし登り棒とかよりもよほどブランコの方が危険だと思うぞ。」
隆太は苦笑いした次の展開が読めていたのだろう。私は言った。
「そうだ、えんびフライやろうぜ!」
「・・・・そうだな。」
えんびフライ、私が子供ころに作ったブランコ二人乗りの技の一つである。とてもみんなからは不評だったが私はこの技が好きだった。人が怖がる姿が面白かったのだろう。
やり方はこうだ、まず相手に普通に座ってもらうそのあと座った人と反対側の方向を前にして座った人をまたいでブランコの両すみに足を置き自分は立つ。その体制のまま全力でブランコをこぎ続ける。
普段座った状態で立ち乗りほどの速さがでないうえに小学校のブランコは支える部分の位置がかなり低いため、もしかしたら上がり過ぎて一回転してしまうんじゃないか?落ちるんじゃないか?と思ってしまう恐怖が生まれるのだろう。
えんびフライというのはそのときにスナップを加えることで回転させてうねらせたのがえびフライの尻尾のようだ、ということでつけられたのだろう。正確には覚えてない。しかしそれがさらに落ちそう、という心を引き立てるのである。
「まぁ、とりあえず座れよ。」
ぐぬぬ、と言いながらも隆太は座り私は配置についた。
「いくぞー」
「おぅ。ほどほどに頼むぜ。」
「了解、全力だ。」
そうだ、昔、同じようなやり取りを同じ場所でしたな、まだ二人とも小さかったとき。
僕がこぎはじめると彼の緊張感が伝わってきて、そしてその感覚に僕は煽られわくわくしてもっと力をこめて、彼はついに声をあげて、やめろー!なりなにか言いだすんだ。これはおもしろいともっともっと高くしてやろうとなった、ついにこいでる自分さえも落ちるんじゃないかと思って怖くなってきて二人して叫んだ、
そんな日もあったな。
なぜだろうか、今は違う。いまブランコはとんでもなく激しく動いているのに、高くなってるのに、泣いてるのは私の方だ。
あぁ、そうか、なくなってしまうんだ。隆太はあと二日でなくなってしまう。とうとうブランコに恐怖を感じてきたのか彼も叫び出した。高校生が二人で小学校の小さいブランコで叫んでバカみたいだ。空は青く太陽はまだ真上には行っていないだろう。
あとどれくらいの時間が残っているのだろうか。何をすればいいのだろうか。そもそもこの二日の計画に意味などあるのだろうか。あたまはごちゃごちゃと混乱していた。それでも黙々と動く太陽が少し憎しみを感じた。
作品名:二日で親友が死ぬそうです。 作家名:type1468