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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「夢の中へ」 第七話

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信長は地球儀を眺めながらさらに聞いてきた。

「わしはのう、この国を治めたら外国に手を伸ばすつもりじゃ。日本だけに固執しておるのは小さいからのう。まどかとやらが見た外国はどのように映っておるのか聞かせてくれ」

「私はオーストラリアしか存じませんが、とても広く日本の数十倍はあります。国の端と端では日が昇る時間が違います。西の端では夜なのに東の端では朝だったりするんです」

「なんと!同じ国で朝と夜があると申すのか?」

「時差といって地球が回っていることで起こる現象なのです」

「これを使って説明してくれ」

まどかは地球儀を回しながら理屈を説明した。

「そなたは博学じゃ。この国一の物知りに違いない。何でも知っているなら聞かせてくれ。わしは天下布武を唱えておる。
この国をわれら武士が統一して治めるのじゃ。何か良い知恵はないかのう?」

信長はまだ二十歳のまどかを尊敬するように変わっていた。初めて顔を合わせたときに比べてその目は優しく穏やかにものを言うようにもなっていた。

「私は女子でございます。政の知恵は持ち合わせてはございません。民百姓が平和で飢えることなく暮らせるようになさって下さいませ」

「うむ、そなたの言うことはもっともじゃ。争いごとは止めねばならぬ・・・この信長とて好きで人殺しをしているのではない。
今わしがこの国を治めるに相応しいと思うからこそ皆と仲良くしたいのだが、われもわれもと言う輩が反抗を示すのでやむを得ず成敗しておるのじゃ。
争いごとが起った領民にはすまないと思うが、それも天下布武のため・・・しばらくの我慢じゃ」

まどかは学んでいた信長のイメージと少し違っているように感じ始めていた。もっと専横的で乱暴な人物だと考えていたからだ。