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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「夢の中へ」 第七話

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完成したばかりの安土城は異様なほどにカラフルで城と言うよりホテルのようにまどかには見えていた。

天守閣の一室はまどかを驚かせるようなものでいっぱいだった。

小半刻ほど待たされて、ばたばたと大きな足音を立てながら信長はやって来た。

「待たせたな!信長じゃ。見知りおけ」

まどかは頭を深く下げて礼をした。じっと顔を見つめられて少しうつむいてしまった。

「そのように怖がるでないぞ!鬼じゃないでな、ハハハ・・・まどかと申したな?座れ」

部屋にはなんと椅子は置かれてあった。そしてその横に鍵盤が並んだ初期のピアノが置かれてあった。ハープシーコードの構造をしていた。

「初めまして。まどかと申します。このたびはお招き頂きありがとうございました」

「そのように堅苦しくせんでもええ。その子の名はなんと申す?」

「はい、藤子でございます」

「藤子か・・・信長じゃ!可愛いのう。母に似て美しゅうなるぞ。ハハハ・・・光秀を呼べ!」

程なく下に控えていた光秀が上がってきた。

「お呼びでございましょうか?」

「呼んだぞ。この者たちに褒美を取らせよ。絹と米じゃ。好きなだけ帰りに持たせよ、いいか!」

「はい、心得ましてございます」

まどかにはその価値がわからなかった。この時代お金はあまり利用されなくなっていた。
理由は銅銭の作りがいびつになっていたのと、長年使われて欠けたり曲がったり擦り切れたりして価値が下がってきたことのダブルパンチだった。

中国との貿易によって銅銭が輸入されていたが、自国内で貨幣を製造することへのこだわりから、次第に銅銭は無くなっていた。
庶民は再び物々交換の時代に入っていったのである。

大きな商いをするための通貨は東日本では金貨、西日本では銀貨が用いられていた。その通貨単位の大きさから庶民には使えないものでもあった。