蒼空の向こう
麻美とは何の関係もないだろう。しかし、心は穏やかではなかった。
なぜ、あんな奴等と・・・。一緒に暮らしていたというヤクザが、今の連中みたいなヤツだとは限らないが、ヤクザはヤクザだ。同じに思えてしまう。
エレベーターが地上に着いて、ドアが開いた。僕は、ホテルまで全力で走った。途中、何人かとぶつかりそうになる。
ホテル・ローザ。僕は、1階のカフェに麻美の姿を探した。
麻美は、大振りの観葉植物に隠れる様にして座っていた。
深いチャコール系のパンツスーツに、濃い紫のスカーフを巻いていた。
白い肌が際立っている。そこには、夜の蝶の妖艶さは無く、森の中で静かに咲いている、白い蘭のようだ。麻美は僕に気づくと、立ち上がって笑顔を見せた。
僕は、麻美を抱き締めたい衝動に駆られながらも、麻美の正面に腰を下ろした。息が上がっていた。
「先生・・・走って来たのね」
「ああ・・・駐車場でヤクザがいたし・・・関係ないだろうけど・・・」
「彼・・・昨日、逮捕されました」
「何だって!?・・・ホントか?」
「はい。・・・銃刀法違反」
「どっちだ?」
「たぶん・・・チャカ」
「たぶんって・・・どういう事だ?一緒には居なかったのか?」



