蒼空の向こう
自分が何をやっているのか、考える余裕も無かった。
会う必要がある。絶対に会わなければ駄目だ。そんな気持ちで走った。
一昨日、出会ったばかりの夜の蝶、ブルーモルフォ・・・野本麻美。
ヤクザとの同棲・・・麻美の言葉で言えば・・・飼われていると言っていた。
飼われているってどういう事だ・・・ヤクザってどんな男だ・・・組員なのか・・・ただのチンピラなのか・・・そのヤクザから逃げる・・・そんな簡単に逃げ果せるのか・・・会ってどうするのか・・・逃亡を手伝うのか・・・。
僕は、会う目的も定まらないまま、アクセルペダルを踏み込んだ。
博多駅には東口と筑紫口、二つの改札口がある。僕は筑紫口に車を回し、車を立体駐車場に滑り込ませた。
1F満車・・・2F満車・・・3Fも満車・・・8階まである駐車場を螺旋状に、タイヤを軋ませながら上っていく。
僕は苛立った。結局、空きがあったのは屋上。
車を停めると、ドアロックをしてエレベーターを探し出し、ボタンを押した。
こういう時は、全てが鈍く感じる。エレベーターのドアが開いた。
中に飛び込もうとして、身を引いた。
エレベーターの箱の中に、二人の男がいた。明らかに筋者とわかる風体。
身を引いた僕に、睨みを効かせながら降りてきた。僕は目線を逸らして、二人が降りるのを待った。恫喝するような視線を感じたが無視した。
今、絡まれるのは困る。早く降りてくれ・・・・・。
緩慢な動きで、二人がエレベーターから降りると、僕は箱の中に飛び込み、1Fのボタンを立て続けに押した。
ゆっくりとドアが閉まり、エレベーターは静かに降りだした。その時、二人が振り向いたが、もう、何の関わりもない赤の他人だ。
僕は大きな溜息をつくと、フロアーが変わる度に点灯するランプを眺めた。今のは、ヤクザだ。有名なバッヂも着けていた。



