蒼空の向こう
「やっぱり・・・優しい」
「悠長な人だ」
「クスッ・・・」
僕が受話器を置くと同時に、末永が口を開いた。
「先生・・・行って!・・・良く判らないけど・・・とにかく行って!」
「すみません・・・申し訳ない!」
「また、明日!」
「みんな、ゴメンなさい!」
僕はバッグを掴むと、企画室を飛び出た。階段を急ぎ足で下りていく。倉庫の中央で、商品の仕分けをしていたパートタイマー達が、一斉に僕に注目した。
先程、末永に紹介されたばかりの石岡さんは、僕の様子をどう見たのか、心配そうな面持ちだった。
僕は、事務所から出て来た吉田係長とぶつかりそうになった。
「あっ!あっ!・・・吉田係長・・・済みません・・・緊急で帰ります」
「おっ、おっ・・・・あっ、はい!」
駐車場にピックアップを停めている。鍵はつけたままにしていた。ドアを開けて、シートに滑り込むと、エンジンキーを回した。
ギアを1速に叩き込み、クラッチを乱暴に繋いで発進した。タイヤが軋む。
僕は、博多駅へと向かった。



