蒼空の向こう
末永正雄。身長は・・・180センチ弱。僕とほぼ同じだが、骨太の分、ガッチリして見える。頭髪は既に怪しく、広い額。特筆すべきは、その目にあった。
どう表現すればよいのだろう・・・鷹の目。獲物を狙う、猫科の大型肉食獣。そうだ!・・・ハリウッドスターのジャック・ニコルソンをご存知だろうか?
彼の出世作でスティーブン・キング作、「シャイニング」という、有名なホラー映画がある。末永正雄=ジャック・ニコルソンだ。同じ目を持っていた。
僕は右手を差し出した。
「梅雨川です・・・宜しくお願いします」
「末永です・・・」
僕は、末永正雄に、男女間の「ひと目惚れ」に似た魅力を感じた。
平野綾子と河野美香は、照れくさそうにしながら、握手の順番を、末永の横で行儀良く待っていた。僕は、順番に握手をした。
平野綾子。22歳。市内の専門学校を出て入社したらしい。身長は160センチ近くで、腰まである髪を後ろで束ね、眼鏡をかけている。真面目そうで、大柄の子だ。
それとは対照的に、河野美香。20歳。身長、150センチあるかないか・・・
華奢な体で、愛らしい顔をしているが、目がキツイ。肩の辺りまである髪は、当時では珍しい、金色に近い茶髪。典型的なヤンキースタイルだった。
僕がこれまで接してきた事の無い人種。新しい世界に飛び込んだ気がした。
「あの・・・・吉田課長・・・僕の机が見当たりませんが・・・」
末永がジャック・ニコルソン的笑顔で、大きなテーブルを指差した。



