蒼空の向こう
福岡市に隣接する大野城市。三笠川3丁目。その名の通り、三笠川という2級河川が、博多湾に向かって流れている。
大きなプレハブ社屋の二階に、H社の企画室はあった。事務所は一階にあるが、総面積の20パーセント程で、残りはパートタイマーを雇って、仕分けや出荷の作業をする倉庫になっていた。
本社は、同じ町内の雑居ビルに置かれていた。既に面識のある平田社長と川崎部長は、本社を拠点としているため、ここには週に二〜三度、顔を出す程度らしい。本来なら、本社に立ち寄ってから来るのが筋だが、平田社長は川崎部長を伴い東京へ出張という理由で、直接企画部へ来たのだ。
事務所で一通りの挨拶を済ませると、吉田課長が、僕を企画室に案内してくれた。
吉田課長・・・吉田大紋。未だ40にもならないのに、腰の周りには脂肪をタップリと蓄えていた。後に知ったことだが、現役暴力団幹部の兄を持つ。
30人を超すパートタイマー達と、商品の管理を主に行っていた。
僕は、吉田課長の後から、二階へ続く階段を登っていく。アルミ製のドアを開けて中に入った。
15坪ほどの広さ。事務用机が、一纏めで3つ。その対面に、大きなテーブルが一つレイアウトされていた。事務机の3倍ほどある大きさで、天板は木目調だ。会議用だろう。
壁面は、一面に棚が設けられ、所狭しと、商品が並べられている。何故か、ギターが一本置いてあった。
企画部は、末永達生を筆頭に平野綾子、河野美香の3名。新人の僕を加えれば4名。事務机が足らない・・・。
「末永君。紹介するよ・・・平田社長から話があった、梅雨川先生。今日から企画室で手伝ってもらうから・・・梅雨川先生は、この業界の事は、未だよく判らないと思うから、色々と教えてあげて・・・末永君のアイデアと梅雨川先生のプロデュースで、新商品をバンバン出して欲しい。平野と美香も頑張ってくれよ」



