蒼空の向こう
「あさみちゃん・・・どうだね・・・先生は?ワシが後見人になるぞ・・・どうかね!?」
「僕も後見人になるよ・・・あさみちゃん。はじめ君の人柄は、僕が保証するよ。はじめ君とは、未だ2年の付き合いだけど、太鼓判を押すよ」
「ち・・・ちょっと待ってくださいよ・・・そんなに急き立てたら・・・」
「はじめ君・・・もういいだろう?一周忌も終えた事だし、いい男が何時までも一人でいるのは良くないよ・・・不潔だ」
「ふ・・・不潔!?西田社長、そこまで言いますか?」
「西田社長から聞いていますよ。残念です・・・でも、あさみちゃんはいい女だ〜逃がす手はない。逃したら、男じゃないな〜」
「あの〜・・・お話が良く見えないのですけど・・・先生は、ご結婚されているのではないのですか?」
「あぁ〜流石に女だね、目ざといなぁ・・・はじめ君の指輪の事を言ってるんだろう?伊達だよ。伊達結婚指輪・・・残念だけど、はじめ君は昨年、奥さんを亡くしたんだ。・・・本当に残念だけどね・・・突然、会社は辞めるわ・・・引篭もるわ・・・才能が在るのに勿体無い。ようやく、此処まで引っ張り出したんだ」
「そうだったんですか・・・」
僕は、西田社長の遠慮が無い言葉に腹を立てた。勿論、西田社長には感謝している。感謝しているから、顔には出さなかった。
指輪は、伊達ではなかった。
恭子はこの世にいないが、彼女と会う方法があった。
夜更け、砂糖を入れたラム酒のオンザロック。側には愛犬チャーリー。



