蒼空の向こう
「ええ・・・」
「ここには日本人は滅多に来ないよ。あ、マイケル。こっちは妻のアイシャ。宜しく」
この気さくな夫婦のおかげで、僕は緊張から解き放たれた。
「席はどこ?・・・・・J5・・・いいシートを取ったね。・・・そろそろ始まりそうだ。中へ入ろう」
一時間後には涙を流しながら、スタンディング・オべイションをしている僕が居た。
魂を震わす音楽と出会った。
そんな僕を、右隣の席の見ず知らず老婆が優しく抱きしめてくれた。
「God bless!」
あの優しいハグ(抱擁)は死ぬまで忘れられないだろう。