蒼空の向こう
「今、どれくらい作っているのですか?」
「今は未だ600という所でしょうか・・・」
平田社長が口を開いた。
「先生・・・いきなりなんて言いません。半年。半年で1,000万のラインを目指して貰えたら、それでOKです」
僕は絶句した。半年で企画商品・・・つまり、オリジナル商品で、売り上げを倍近くにして欲しいというのだ・・・とても無理そうに思えた。僕は、西田社長の顔色を窺った。
「西田社長・・・出来ると思いますか?僕には、全く、予測もつかないんだけど・・・」
「大丈夫、大丈夫!はじめ君なら1,500だっていけるよ」
なんという無責任な言葉・・・僕はそう感じつつも、この不思議な流れに呑まれていく自分に逆らえなかった。
いや、半分はどうにでもなれ・・・とでも感じていたのかもしれない。広告の世界から離れてみるのも、良いかも知れない・・・。
「何時から行けば良いですか」
「来てくれるんですね!」
「ご期待に応える事が出来るよう、頑張ってみます・・・お世話になります」
「良かった!ありがとう!先生、有難う!」
平田社長は、感情を表に出すタイプのようだ。身を乗り出して、僕の手を両手で握り締めると、大げさに振った。



