蒼空の向こう
「あ・・いや・・・平田社長が、いきなり決めちゃうもんだから・・・驚いて・・・咽ちゃって・・・。」
僕は、咽た時に少し水割りを零し、それはズボンの右腿を塗らした。
由香里と呼ばれる子が、僕の太腿を、お絞りで拭こうとしたので、僕は由香里の手を制して、お絞りを取り上げた。
「大丈夫ですよ・・・大して濡れてないから・・・すみません。お騒がせしました・・・平田社長・・・まだ、何も決まってないですよ。ファンシーグッズの企画なんて、やった事も無いですし、自信も無いですよ」
「いやいや・・・西田社長の太鼓判があるから、大丈夫ですよ。今、思いつきで決めた訳じゃないですから、先生、是非、来てください。室長に末永というのがいます。末永も、むちゃくちゃ歌が上手くてね、ブルースを歌わせたら最高なんですよ。若い時には、ライブハウスで歌っていたんですよ。それに、この川崎部長は・・・こう見えても、ギターを持たせたらプロ並なんです。若い頃、ギター修行でイギリスに行っていたんですから・・・他にも面白い面々が揃っているし・・・是非、お願いしますよ」
僕は会社ではなく、人に興味を覚えた。
「楽しそうな人達ですね」
「来てもらえますか?」
「ノルマとか条件は無いのですか?」
僕は、平田社長に向かって尋ねた。口を開いたのは、川崎部長。
「ノルマはあります。企画商品で毎月1,000万の売り上げを出して欲しい。後はプロパー商品です。」



