小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
つゆかわはじめ
つゆかわはじめ
novelistID. 29805
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

蒼空の向こう

INDEX|69ページ/147ページ|

次のページ前のページ
 

 当時は競合相手も無く、顧客をほぼ独占していた。濡れ手に粟・・・とまでは行かなくとも、羽振りは良さそうだった。

 更に遡ること一年。僕が勤めていた広告代理店に、総合プロデュースを頼んできたのが、西田氏との最初の出会いになる。

 担当は、若手の岡田が受け持った。当初、岡田は、素人相手の仕事だから楽勝だと嘯いていた。しかし、西田氏のデザイン・クォリティに対するハードルは思ったよりも高く、岡田は、度々、苦戦を強いられていた。
そんな時、助け舟を出していたのが僕だった。

 僕が会社を辞めたのを機に、西田氏は、直接、僕にデザインを頼むようになったのだ。受ける気は無かった。やる気も無かった。なのに、ほぼ毎日のように家を覗いては、仕事を置いていく。

「はじめ君・・・いるね〜・・・また、デザインを頼むよ」

「西田さん・・・ゴメン、直ぐには出来そうにないですよ・・・」 

「あ、いいから・・・ゆっくりでいいよ。それに、はじめ君に頼んだ方が安いだろう?助けてよ」

「別に・・・お金はいいんですけど・・・」

「こんな仕事でつまんないだろうけど・・・協力してよ」

「・・・いつまでですか?」

「1ヶ月先でいいから・・・のんびりやって」

 そんな感じで、仕事だけが溜まっていく。西田氏の気持ちはありがたかった。
 
作品名:蒼空の向こう 作家名:つゆかわはじめ