小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
つゆかわはじめ
つゆかわはじめ
novelistID. 29805
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

蒼空の向こう

INDEX|65ページ/147ページ|

次のページ前のページ
 

「ブシュッ・・・ブュシュッ・・・・シュッ」  

「チャーリー・・・頑張れ・・・頭を上げろ・・・頑張れ」

僕の体力は既に限界に達していた。しかし、海中に吸い込まれそうになりながらも、掴んだ首輪を上へ上へと持ち上げた。

「頑張れ・・・もう少しだ・・・」

 僕達は何時しか堤防の裏側の岩場に近づいていた。だが、足が・・・腕が痙攣を起す。

 もう駄目だ・・・僕は、そう思って首輪から手を抜くと、チャーリーの腰を押した。
 再び、沈んでいく。すると、直ぐに足が着いた。いつの間にか、水深が二メートル足らずの所まで来ていたのだ。

 僕は、海底をつま先で蹴ると、水面へ飛び出た。目の前に岸辺が見えた。もう、泳ぐ力は残っていない。沈んでは浮き、また沈んでいく。そうしながら、少しずつ岸に近づいた。水面から顔を出した時、チャーリーが岸辺に辿り着いたのが見えた。

 沈んでは浮く・・・何度も繰り返した。僕は、遂に頭が出る深さまで岸辺に辿りついた。天を仰ぎ、肩で息をする。動けない。
 岸は目の前だ。
 僕は、岸へ向かって忍び寄るように水の抵抗を押しやった。
 岸辺では、チャーリーが待っている。僕は、時間をかけて腰の深さまで辿りついた。
 チャーリーが水に飛び込んだ。
 僕は鉄のように重くなった体を必死に運んだ。
チャーリーが泳いできた。抱きしめる。
僕は岸辺にたどり着く事無く、その場に座り込んだ。限界だった。

作品名:蒼空の向こう 作家名:つゆかわはじめ