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つゆかわはじめ
つゆかわはじめ
novelistID. 29805
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蒼空の向こう

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 僕はうっすらと瞼を開いた。
飛び込んだ時にサングラスは失っていた。養分の豊富な沿岸の海水は少しだけ濁っている。その濁りの中に幾筋もの光が差し込み、ユラユラと揺らめいていた。

 もう少しだ・・・もう少しで楽になれる・・・。
 僕の肩に何かが当たった。しかし、それを意識出来る程の思考力は、もう無い。

 目指す先は唯一つ。光が差し込む揺らめきの青い海の底。願わくば、故郷の海に沈みたかった。

 僕は口を開けた。海水を嚥下する。咽る・・・海水がまた入る。
再び肩に何かが当たった。今度は数回・・・肩を引っかくように・・・僕は沈みながら首を傾けて、目を開いた。

 ブルゾンに犬の前足が絡まっていた。チャーリーが溺れかけている・・・。
というより、沈み行く男の道連れになろうとしていた。
 僕は振り払おうとして暴れた、引かれてチャーリーが水中に沈む。僕は残された力で海中を蹴った。
 顎を海面から突き出すと一気に酸素を補給する。ヒューッ・・・という吸気音と共に、僕はチャーリーを引き寄せた。
チャーリーも、かなりの水を飲み込んだのか、力が無い。弱っていた。

「ウガッ・・・ガッ・・・チャ・・・チャーリー・・・何で・・・ウググッ」

僕は、更にチャーリーを引き寄せると、首輪を掴んで頭を上げた。チャーリーも、必死の形相で酸素を求めた。

「ブシュッ・・・ブュシュッ・・・・」

チャーリーは海水を飲み込んでは吐き出す。

作品名:蒼空の向こう 作家名:つゆかわはじめ