蒼空の向こう
僕は・・・飛んだ。
宙に舞った体は、真っ逆さまに落ちて行き、頬に激痛が走った。
体は、海面を叩き、水飛沫を上げ、そのまま沈んでいった。
「生と死」に早く決着を着けたい。僕は肺の中に溜まった空気を吐き出した。苦悶が襲う・・・無意識に息を吸い込んだ。苦い海水が体内に流れ込む。
懐かしい潮の匂いが鼻腔から脳天を突き抜けていく。意思に逆らうように手足が暴れた。
ジッとしてろ・・・もう直ぐ楽になる・・・もう直ぐ。
僕は見苦しくも死から逃れようともがく己を罵った。
苦しさで脱糞しそうになる・・・脱糞しても羞恥心など、正しく海の藻屑・・・僕は体中の力を、体を包み込む海水に流し込み、母なる海に委ねた。
酸素の供給を奪われた脳が思考することを放棄し出す。
ジッとしてろ・・・もう直ぐ楽になる・・・もう直ぐ。
体が死への拒絶反応を起こし、小さく痙攣し出した。