蒼空の向こう
恭子はカンカンと音を立てながら鉄製の階段を下りていった。
波間に釣り船が揺れている。脳裏をスライドショウの様に記憶の映像が浮かんでは消えていく。清清しい気持ちだった。
僕は両親に恭子を紹介した。
「恭子さんです。アメリカから戻ったら結婚します」
その一言で全てが解決した。母は喜び、父も恭子に優しかった。ガチガチに固まった恭子だけは脂汗を掻いていた。
僕と恭子は客間に敷かれた布団の中で抱き合っていた。
「はじめちゃん・・・ありがとう」
「それを言うなら僕の方だよ」
「緊張したけど・・・凄く幸せ。・・・でも、似てないね」
「何が?」
「はじめちゃん・・・お父さんにも、お母さんにも似てないなって」
「似てない親子もいるさ」
「そうだね・・・でも、凄く優しいお父様とお母様で安心しちゃった」
「だろ?・・・優しいよ。だから安心していいよ」
「うん」
「恭子・・・愛しているよ」
「私の方が・・・もっと愛しているよ」