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つゆかわはじめ
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novelistID. 29805
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蒼空の向こう

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 恭子はカンカンと音を立てながら鉄製の階段を下りていった。
 波間に釣り船が揺れている。脳裏をスライドショウの様に記憶の映像が浮かんでは消えていく。清清しい気持ちだった。

 僕は両親に恭子を紹介した。
 
「恭子さんです。アメリカから戻ったら結婚します」

 その一言で全てが解決した。母は喜び、父も恭子に優しかった。ガチガチに固まった恭子だけは脂汗を掻いていた。

 僕と恭子は客間に敷かれた布団の中で抱き合っていた。
 
「はじめちゃん・・・ありがとう」

「それを言うなら僕の方だよ」

「緊張したけど・・・凄く幸せ。・・・でも、似てないね」

「何が?」

「はじめちゃん・・・お父さんにも、お母さんにも似てないなって」

「似てない親子もいるさ」

「そうだね・・・でも、凄く優しいお父様とお母様で安心しちゃった」

「だろ?・・・優しいよ。だから安心していいよ」

「うん」

「恭子・・・愛しているよ」

「私の方が・・・もっと愛しているよ」

作品名:蒼空の向こう 作家名:つゆかわはじめ