蒼空の向こう
「・・・・・・・・・・」
「返事は?」
「わかったよ・・・婿にしてください」
女には適わない・・・・・。
心の霧が晴れた。フェリーから見える水平線の上には帯のような雲がうっすらと掛かっている。潮風が頬を擽った。久しぶりの崎戸島。僕は両親への報告を兼ねて崎戸に向かうフェリーのデッキにいた。何度もこのデッキの上に立った。いつも一人で水平線を眺めていた。
「はじめちゃん・・・ドキドキする。ご両親・・・気に入ってもらえるかな・・」
「心配ないよ。恭子は気に入ってもらえるさ」
「そう?・・・ああ・・・だめっ!・・・どうしよう」
「いつもの恭子でいればいいじゃないか」
「だめよ。いつもの恭子なら×がついちゃう」
「嘘をつくのか?」
「そうじゃないけど・・・」
「心配するなって」
「いけない・・・おなか痛くなってきた・・・トイレ行ってくる」
「バカ。早く行って来い」