蒼空の向こう
仕事を終え、重い足取りでアパートの階段を上がった。年も暮れようとしている。ちらほらと雪が舞っていた。玄関のドアを開けた。暖かい空気が押し寄せてきた。
「おかえり、はじめちゃん。お疲れ様!」
「来てたのか・・・・ただいま」
「はじめちゃん・・・おなかは?」
「店で食べたから平気だよ」
「そう・・・お風呂、沸いてるよ。寒かったでしょう?入ったら?」
「うん・・・恭子は?」
「私は先に使っちゃったから・・・でも、また入いろっかな!」
他愛も無い会話をしながら服を脱ぎ捨てると、バスタブに身を沈めた。
冷え切った体の末端が痺れる。突然、アルミのドアが開き、恭子が裸で入ってきた。
「狭いぞ」
「くっつきムシ」
恭子はかかり湯をすると、笑いながらバスタブに体を捻じ込む。僕に背中を向けて体を沈め、身を委ねた。