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つゆかわはじめ
つゆかわはじめ
novelistID. 29805
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蒼空の向こう

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「崎戸!?崎戸島か!」

「ご存知なんですか?」

「知っとるも、何も・・・はじめ君。松尾巧って知らんね。アンタより随分上と思うばってん。崎戸の人やけどね・・・」


 僕はしばし考えた。松尾・・・松尾巧・・・兄の中学時代の同級生にそういう人がいた記憶がある。

「蛎の浦の人ですか?松尾 巧さん」

「そう!・・そうたい!蛎の浦の松尾巧たい!知っとるんね!」

「兄の中学の同級生です。四つ先輩になりますけど」

「はっあー!また奇遇やねぇ〜巧君は姪浜の魚屋で働きよるたい。うちも時々世話になっとる。はぁ〜〜驚きやね〜ここにも時々来るよ」

「そうなんですか・・・・でも、僕が小学生の時に何度か会った事がある程度ですから・・・あまり・・・」

「はじめ君。どうね・・・うちで働かんね。給料はそこまで出んかも知れんけど、飯は食い放題やし・・・只ばい」

不覚にも飯に釣られた。

「雇って頂けるんですか?」

「伊達に店、しとらんたいね・・・人ば見る目はあるたい。うちで働きんしゃい!」

 就職が決まった。
 
作品名:蒼空の向こう 作家名:つゆかわはじめ