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つゆかわはじめ
つゆかわはじめ
novelistID. 29805
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蒼空の向こう

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「お、男か?それとも女の子か?」

「そんな事、分からん!この凛々しい顔立ちは男の子だろう・・・爺さんよ!漁は止めだ。急いで島に戻るぞ!」

「おうさ!」

 賢三は木箱の蓋を戻すと己の船に戻り櫓を握った。森一も賢三の後を追う。船に飛び乗った時、船が揺れ、森一はもんどりを打った。

「大丈夫か!爺さん!」

「あたたた・・・なあに。大丈夫だわい!賢三さんよ、島まで精一杯漕げよ!」

「おうさ!爺さんも頼むぞ!」

「おうさ!」

 二人が漕ぐ手漕ぎ船は、赤ん坊を乗せた伝馬船を曳き、波間を縫って行った。
 
作品名:蒼空の向こう 作家名:つゆかわはじめ