蒼空の向こう
「お、男か?それとも女の子か?」
「そんな事、分からん!この凛々しい顔立ちは男の子だろう・・・爺さんよ!漁は止めだ。急いで島に戻るぞ!」
「おうさ!」
賢三は木箱の蓋を戻すと己の船に戻り櫓を握った。森一も賢三の後を追う。船に飛び乗った時、船が揺れ、森一はもんどりを打った。
「大丈夫か!爺さん!」
「あたたた・・・なあに。大丈夫だわい!賢三さんよ、島まで精一杯漕げよ!」
「おうさ!爺さんも頼むぞ!」
「おうさ!」
二人が漕ぐ手漕ぎ船は、赤ん坊を乗せた伝馬船を曳き、波間を縫って行った。