蒼空の向こう
僕は受け取った前掛けを結ぶと、次から次に運ばれて来る小皿、大皿、茶碗、コップを洗いまくった。
洗っても洗っても、次から次に運ばれてくる。
店内の騒動は二時間程で落ち着いた。
肩を叩かれた。振り向くと、その人がいた。僕をスカウトした人だ。
「いや〜〜いきなりで驚いたろ!?ばって、助かったよ。もう少しで落ち着くけん。飯、食って行きなさい」
「あ、飯は良いです」
「なんね。用事でもあるとね」
「いえ・・・用事はないですが・・・申し訳ないですから」
「ガハハハハ・・・遠慮せんで良かぁ・・・食って行かんね」
「・・・すみません。じゃあ、お言葉に甘えます」
「うんうん・・・・もう少しだけ我慢しちゃり」
「はい。ありがとうございます」
「がははは・・・・礼を言うのはこっちたい!・・・ガハハハハ・・そうそう、名前は何て言うとね。私はここの大将で香月と言います」
「はじめです・・・梅雨川はじめと言います」
「はじめ・・・ね。よかよか。見たところ真っ直ぐのようやね〜よかよか」
何だか嬉しかった。