蒼空の向こう
自然に感謝し、また畏れる。糧を得る喜び。それを家族と分かち合う幸せ。
己の力を信じ、胸を張って挑める仕事だ。
未来も何もない、今日を生きていく為に働くのとは雲泥の差だ。
散らばっていた30人程の日雇い達が小型バスに群がってきた。 小型バスから降りてきた手配師が、手に持ったメモ紙を見ながら大声で読み上げた。
「南区、井尻!建築現場、6名!日当、6000円!」
僕はすかさず手を上げて歩み寄った。
「乗って!」
同じように五人が手を挙げ、ダラダラと乗り込んでいく。
ニッカボッカに地下足袋。洗い晒しのタオルを頭に巻いた典型的な日雇い労働者。僕も同化した。 僕は運転席の真後ろに座った。 男達が乗り込んでくる。 年齢は様々だが僕のような10代は1人もいなかった。
30分ほどで現場に着く。
作業場が振り分けられる。
手だれた連中は少しでも楽な仕事に在りつく。
建築現場での仕事は雑多だ。
今のように機械化されていない現場は、僕達のような日雇いが雑作業をこなす。
一日中、鉄筋を運ぶ。
一日中、スコップを大地に突き刺す。
一日中、モルタルを捏ねる。
一日中、ネコ(一輪車)で砂利を運ぶ。
一日中、・・・・・。