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つゆかわはじめ
つゆかわはじめ
novelistID. 29805
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蒼空の向こう

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「大丈夫って!」

「ごめんね・・・はじめ」

「なんば、言いよると・・・そろそろバスが出るけん」

「はじめ・・・」

「はじめにいちゃん・・・・」

「遥・・・お母さん・・・頼むぞ」

「うん!・・・まかせんね!・・・いってらっしゃい!はじめにいちゃん!」

「うん。じゃあ・・・」

 妹の遥に肩を抱かれながら泣き崩れる母を見るのが辛かった。
 僕はバスに乗り込むと運転手の真後ろに座った。
 母と妹が手をゆっくり振っている。
 僕は笑顔を作ってそれに応えた。

 フェリーのデッキの上。

 晴れ渡っている。

 何度、このデッキの上に立った事だろう。

 4月の潮風は肌寒かった。

 水平線の上が霞んで見えた。
 
作品名:蒼空の向こう 作家名:つゆかわはじめ