蒼空の向こう
「じいちゃん!」
「おおっ!・・・はじめか。学校は終わったか。勉強はどげんや!?」
「うん。しよるよ」
「そうか・・・お前は頭ん良かし、絵も上手かけんなぁ・・・通信簿は、もろうて来たか?」
「うん」
「どら・・・見せろ」
僕はランドセルを開けて通信簿を祖父に渡した。
「ほう・・・全部5か・・・」
「違うよ・・・3・・・音楽が3・・・全然、分からん!」
「よかよか・・・他が全部5やけん・・・良か!」
「うん」
「船にイセエビが入っとるけん、持って行け」
「うん!」
「一番大きかとから持っていけよ!」
「うんっ!」
小さい方からではないのか?・・・・いやいや、理由がある。イセエビ漁の解禁はもう少しだけ先だ。だが捕れたものは七福神・恵比寿様のご慈悲である。活かしておいて食べるのである。市場には出せない。