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つゆかわはじめ
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novelistID. 29805
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蒼空の向こう

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「じいちゃん!」

「おおっ!・・・はじめか。学校は終わったか。勉強はどげんや!?」

「うん。しよるよ」

「そうか・・・お前は頭ん良かし、絵も上手かけんなぁ・・・通信簿は、もろうて来たか?」

「うん」

「どら・・・見せろ」 

 僕はランドセルを開けて通信簿を祖父に渡した。

「ほう・・・全部5か・・・」

「違うよ・・・3・・・音楽が3・・・全然、分からん!」

「よかよか・・・他が全部5やけん・・・良か!」

「うん」

「船にイセエビが入っとるけん、持って行け」

「うん!」

「一番大きかとから持っていけよ!」

「うんっ!」

 小さい方からではないのか?・・・・いやいや、理由がある。イセエビ漁の解禁はもう少しだけ先だ。だが捕れたものは七福神・恵比寿様のご慈悲である。活かしておいて食べるのである。市場には出せない。
 
作品名:蒼空の向こう 作家名:つゆかわはじめ