蒼空の向こう
少しばかり、気持ちが高揚しているのは、あのブルーモルフォに会いに行くから。不安と期待が入り混じった、複雑な心境に陥っていた。
西の空は未だ明るい。僕は、自分を鼓舞するように、アクセルを踏み込んだ。
佐賀県、鳥栖市。
夜更けの本通筋商店街に、人の姿は無かった。細い路地を入ったところに、小さな看板があった。僕は、西田社長から貰ったメモを確認した。
スナック・優。末永が、安っぽい店のドアを開けた。僕と良子は、後に続く。
店内は以外に広く、カーブを描いた黒塗りのカウンター。そして、ボックス席が4つ。ホールの天井で、小さなミラーボールがゆっくりと回り、光を集めては、彼方此方に跳ね返していた。客はカウンター席に2人。奥のボックス席に4人。手前のボックスが空いている。
黒いベストに蝶ネクタイ姿のバーテン。30代後半だろう。うつむき加減で、カクテルを作っていた。そして、20代前半だろうか・・・着崩れしたような真っ赤なドレスを纏ったホステスが、笑顔で近づいて来た。
肩まである長い黒髪は、大きなウェーブが掛かり、ふっくらとした丸い顔。
分厚い唇には、これでもかと言わんばかりに真っ赤なルージュが引かれていた。
ふくよかと言えばそうかもしれない。大きく開いた胸から飛び出しそうな白い乳房の片方に、大きめの黒子が一つ、否応にも目を奪われる。
ただ、下腹部が張り出し、どう見ても、ドレスのサイズが合っていない感じがした。
踵が擦り切れた中途半端なハイヒール。そこから伸びる脹脛に緊張感はなく、そのまま太い腿を根元まで露出していた。少しだけ腰を折れば明らかに中が覗けそうだ。



