蒼空の向こう
「はい。お陰様で」
「連れて来い」
「はい、そうします」
「じゃあな・・・必ず、電話しろよ!」
「・・・・はい」
僕は、受話器を置くと、天井を見上げて溜息をついた。
福岡と言う、地方の広告業界は狭い。中堅クラスのデザイナー達には、僕の名は知れ渡っていた。会社に在籍中、いくつかの広告賞も獲った。
数日後には、僕の名が汚名として流布する事だろう。誹謗中傷は免れない。丁度、良い切欠だ。僕は、広告業界から足を洗う決心をした。
パートタイマーは臨時休業。平野と美香も休暇を取っている。末永は何処に行ったのか、姿が見えない。企画部は閑散としていた。再び電話が鳴った。
「もしもし・・・企画部」
「あ、先生・・・俺です」
「末永・・・どこに居るの?」
「会社に居ても仕方ないからさ・・・」
「まさか・・・デートしてるんじゃ・・・」
「ビンゴ」



