蒼空の向こう
「何で・・・お前が・・・何で、悪に手を染めた!?」
・・・悪に手を染める・・・何と言う陳腐な言葉。
確かに、違法行為で儲けに走った会社の歯車になった事を言われれば、そうなのだろう。
いや、人はそう見るのだろう・・・僕は自分の立場が悪くなっていく事には、然程、恐怖感も感じなかった。
それより、悪に手を染めた・・・・と、以前、勤めていた会社の社長から、頭ごなしに言われた事が、僕には辛く感じた。
僕は無言のまま、受話器から届く罵声を受け止めた。
「はじめ・・・広告賞まで獲ったお前が、なんで、そんな会社に居るんだ?なぜ、デザイン業界で才能を発揮しない?・・・お前が・・・・辛かったのは良く判る。でも、そんな会社で・・・」
「社長・・・そんな会社、そんな会社って言わないで下さいよ」
「・・・すまん・・・つい・・・許せ・・・。はじめ・・・一度、会社に出て来ないか。飯でも食おう」
「はい。暫くは身動きも取れないでしょうから・・・近々、窺います」
「うん。そうしてくれ・・・はじめ、すまなかったな」
「良いんですよ・・社長。本気じゃないって、判っていますから」
「そうか・・・じゃあ、必ず電話しろよ」
「はい・・・ありがとうございます」
「チャーリーは元気か?」



