蒼空の向こう
「ありがとう・・・」
「先生・・・幸せになってよ」
「うん・・・」
良子と視線が絡んだ。
刹那。良子に麻美が被さって見えた。僕は、抱きたい、という衝動に駆られた。
良子はハッとして眉間を開き、小さな溜息をついた。
窓越しに中洲の賑わいが見える。
眠らない街。
嬌声が年の瀬のビルの谷間に木霊する。
人々の官能の下で蠢く、悲喜こもごも。
通りを歩く人々の行き先は、何処なのだろう。
いったい、僕は何処へ行くのだろう。
そんな、漠然とした想いが脳裏を駆け巡り、黒い塊となって胸に居座った。
僕は、ブルーモルフォ・野本麻美に会う決心をした。



