蒼空の向こう
僕は呼吸を整えながら、良子の顔を見下ろした。良子は僕の目をしっかりと見据えながらもう一度囁いた。
「先生・・・好きです」
僕の引き出しには、こういう時の対処方法というのが無い。僕は、顔を真っ赤にしながら、ただ、良子の黒い瞳を見つめるだけだった。
「先生・・・良子はね・・・先生の事が好きなんですよ。僕もね・・・他の男なら絶対に有り得ない話だけど・・・先生なら許せる」
「ハァ・・・ハァ・・・末永・・・さん・・・気持ちは嬉しいけどね・・・そんなの無理だよ」
「良子が嫌いですか?」
「いや・・・そういう事じゃないよ・・・良子さんはすごく素敵な人だよ・・・でも無理なんだ」
「先生・・・解っていますよ・・・亡くなられた奥様を、今も愛しているんでしょう?」
「そういう・・・事かな・・・」
「先生は・・・やっぱりカッコ良すぎるよ・・・でも、僕も良子も、先生が好きだと言う事・・・覚えといてね」
「うん・・・・ありがとう・・・僕は末永さんが羨ましいよ」
「どうして?」
「どうしてって・・・良子さんを放しちゃダメだよ」



