蒼空の向こう
「・・・バツは付いていないけど」
「付いていないけど?」
「結婚はしていた・・・昨年、死んだんだ・・・病気で」
「うっ!・・・マズったな・・・言葉が出せなくなった・・・先生、ゴメン」
「いいんだよ・・・立ち直っているから・・・ご心配なく」
「先生ゴメン!・・・さっき、カッコ良すぎるって言ったけど・・・無茶苦茶カッコ良すぎだよ・・・嫁とは死別・・・で、その経歴。いくらでも、女は寄ってくるんじゃない?」
「そんな事ないって・・・マジで困っているんだから」
「困ってる?マジで?それって・・・男としてって事」
「そう・・・マジで」
「良子を貸すよ」
僕は、飲みかけのボジョレーを噴出してしまった。ボジョレーを噴出して、咽てしまった。
「先生!・・・大丈夫ですか!?」
良子は、バッグからハンカチ取り出すと、ボジョレーで濡れた僕の太腿を拭いた。
僕は、腰を折り曲げて咽び返す。そんな僕を心配そうに見上げながら、良子が囁いた。
「私・・・先生の事好きですよ・・・」



