蒼空の向こう
別段、暴かれて困る話も無いので、誘いを受けることにした。
パートタイマーは最終でも5時には仕事を終える。そして、事務所の社員は、遅くとも7時には帰る。企画室も同じで、平野と美香は7時には、もう居ない。
広告代理店という、時間に追われながら、火を噴くように仕事をしていた僕にとって、この企画室の仕事が余りにものんびりで、自由過ぎる気がした。
自由と言うのは適切でないかもしれない。野放し・・・・そう呼んだほうがシックリくる。
しかし、僕もその中で、野放し状態で飼われる身。次第に、そのペースに嵌っていった。
ただ、僕も末永も、頭の中には新商品を期限までに作り、商品化し、ノルマを達成するという、プレッシャーを担っていた。互いに、口に出すか、出さないかの差だ。
僕は、新商品のアイデアスケッチを描き起こす作業をしていた。規定の就労時間は、とっくに過ぎている。
熱中し出すと何も見えなくなるのが僕の癖で、気がつけば夜中、という事もある。突然、声を掛けられた。
「先生・・・・」
「うわっ!・・・石岡さん・・・いつも間に?」
「すみません・・・ノックしたのですけど・・・先生、気づかない様子でしたから、勝手に入っちゃいました」



