蒼空の向こう
「だから・・・僕は今・・・の続き」
(僕は今・・・胸が一杯だよ。もう少しだけ、僕に時間をくれないか・・・)
言えなかった。自分がずるいと思った。
「これから、どうするの?どこへ行く?」
「大阪に行きます」
「頼れる人はいるのか?」
「はい・・・叔母がいるんです。暫くは其処に・・・」
「そうか・・・また歌うの?」
「どうだろう・・・でも、私、それしか出来ないから」
「麻美は、どこへ行っても人気者だよ」
「今のうちだけですよ・・・私も歳は取ります・・・チヤホヤされるのは若いうちだけですよ・・・それも判っています」
静かな時間が流れた。コーヒーを、もう一度、注文した。
このコーヒーを飲み終えると、別れが来るのだろう。そう思うと、コーヒーに手がつけられない。
未練だ・・・そう思いながらも、少しでも、この青い蝶、ブルーモルフォを側に置いておきたかった。



