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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「夢の中へ」 第六話

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土岐城下にも宣教師がやって来た。中仙道伝いに布教をして程なくその年の暮れに開かれた陶器市に黒い装束の見慣れぬ外人が片言の日本語でキリストの教えを説いていた。
村は大騒ぎになっていた。仏教寺院の僧侶達は異国の宗教に敵意を抱き、邪教に惑わされるなと説いて回っていた。
そんな事は意にも介さず宣教師は一人でも尋ねてくる老若男女に布教をした。

藤次郎は噂を聞きつけまどかと藤子を連れて日が落ちようとしている市の終了を待って民家を間借りしただけの教会へ足を運んだ。

「ヨウコソ、オコシ、クダサイマシタ・・・オカケクダサイ」

宣教師のマグダネイルは笑顔で迎えてくれた。その場には三人のほかに数人村人がいた。

「オナマエ、キカセテ、クダサイ」

「俺は藤次郎、隣は妻のまどか、そして娘の藤子です」

「アナタガ、トオジロオサマ、ソシテマドカサマ、フジコサマ、デスネ」

「そうです。言葉がお上手ですね」藤次郎は笑ってそういった。

「アリガトウゴザイマス。ワカラナイコトガオオイノデ、ユルシテクダサイ」

挨拶が終わってマグダネイルは自分の国の話とキリストの話を始めた。その場に居る村人達は初めて聞く異国のことやキリストに深い関心を持ち始めた。
まどかはもちろん知っている。詳しくはわからないがおおよその事は学んではいた。

アーメンと合唱して半刻ほどの時間が過ぎていた。暗くなり始めていた中それぞれの家に帰って行く村人にまたの再会を宣教師は握手をしてお願いをしていた。
藤次郎は藤子と手をつないで別れの挨拶をした。
続いてまどかが手を差し伸べようとした時、何を思ったのか宣教師は小さなマリア像を見せて話しかけた。