神様ソウル3
困ったことになってしまった。ここまで深く繋がってしまったら私一人の力でどうにかするのは難しいかもしれない。
「……とりあえず上に連絡して指示を仰いでみます。まずそこの小娘は課長の上からどきなさい」
「えー」
「……私との力の差がわからない訳ではないでしょう?早くどきなさい」
「……うー」
軽く凄むとレイカはのろのろと課長の上から降り、その隣に寄り添うようにして座り直した。
「この子……レイカっていいましたっけ。さっきも言いましたが、この子の目的は課長の心を奪うことです。すでにその目的はほとんど達成されてしまっていますが」
「……すいません」
課長が神妙な面持ちで謝罪した。
「まだ手遅れって訳じゃありません。問題はこれからどうするかですよ」
「よし任せろ」
「まず一番に防ぎたいのは課長とレイカのこれ以上の接触です。見たところ完全に支配されているわけではないようですし、症状の進行を防ぐことができればあとは解き方を見つけるだけで解決するはずです」
「意外と簡単だな。要はレイカに近付かなければいいんだろ」
「じゃさっそくやってみましょう。レイカ、どいて」
抵抗するレイカを押しのけて二人の間に座る。
「どうです?」
「……ふむ」
課長は深々と一回頷き、大きく息を吐いた。
「レイカの能力を今ようやく理解した」
「……というと?」
「レイカが傍にいないこの状態が非常に辛い。お前を蹴り飛ばしてレイカをこの胸に抱き寄せたい。二人でどこかに飛び立ちたい」
「……真面目な顔で何言ってるんですか」
「真面目に言ってるんだ」
「私もお兄ちゃんの傍がいいよぉ……」
「レイカぁ……」
情けない声を上げて手を伸ばす課長。ちょうどいいところにあったので全力ではたいてやった。
「痛い……」
「言ってるそばからくっつこうとしないでください」
「だってレイカがいないと不安なんだもん……」
乙女かよ。これは深刻だわ……。早く何とかしないと。