神様ソウル3
公園を出て課長の家の前で立ち止まる。
「はぁ……」
課長に恋?私に限ってそんなバカなことが。天界人は恋愛も結婚もしない生き物だって課長も以前言ってたし。
その時、ポケットに入ったケータイが震え出した。課長からメールだ。
「夕食の買い物を忘れていたので行ってきます。先に家に入ってレイカの相手でもしてて下さい」
だそうだ。また勝手なことを。まぁ、レイカの監視を怠らなければ二人の接触は避けることができるし、問題はないだろう。
インターホンを押すと、玄関の扉が開いてレイカが中から現れた。
「あれ……お兄ちゃんは?」
「買い物だってさ。すぐに帰って来るみたいよ」
「……そっかー」
レイカは私に背を向けて、ペタペタとリビングへ歩き出した。私も靴を脱いで彼女の後を追った。
「私たちが学校行ってる間何してたの?」
「別になんにも……散歩したりテレビ見たり」
こんな素性の知れない女の子を家に一人で置いておくなんて……鍵も掛かってなかったみたいだし、無用心にも程がある。 「テミスはどうしてお兄ちゃんの家に来たの?」
「それはもちろん夕食を食べるため……じゃなくてあなたの監視をするために決まってるでしょ」
「いつ帰るの?」
「帰らないわよ。課長に掛かった呪いを解くまではあなたから目を離せないんだから」
「なんで……?お兄ちゃんとあたしの邪魔しないでよ」
「だめよ。課長の魂を地獄に渡すわけにはいかないわ」
「そんなの知らない!!あたしはただお兄ちゃんと一緒にいたいだけなんだから!」
レイカが立ち上がって語気を荒げた。
「そんなの知らない。それは私だって同じことよ。どんな理由があろうと私はあなたのすることを見過ごすことはできない」
レイカは唸りながら鋭い目つきで私を睨みつけ、激しい足音を立ててリビングを出て階段を上っていった。